仮想通貨の個人投資家は、ビットコインやイーサリアムの利益が分離課税でないことから、最大で55%もの税金を取られるという問題があります。一方で法人トレーダーや法人投資家であれば、実効税率の21~33%の範囲内で済み、さらに事業の損益を計上することで合法的な企業に与えられいる節税の権利を使用し、課税額を下げることができるのです。
一方で仮想通貨の税制改正により、法人は期末にビットコインやイーサリアム評価額で課税されるため、これらの節税対策を考慮しなければならず、運用に求められるスキルが非常に上がっているのです。
今回のようなビットコインとイーサリアムの高騰で、期末で大幅に評価課税される法人トレーダーは多く、仮想通貨の時価評価課税の節税を考えなければいけません。本稿では法人の仮想通貨運用における仮想通貨の時価評価課税が可能であるか、期末までに法人投資家はどのような戦略を取らないといけないのかについて、具体例を用いてくわしく解説を行います。
- 1 免責事項
- 2 ビットコイン高騰
- 3 ビットコイン所得額増加は節税にならない
- 4 仮想通貨期末時価評価課税の節税策
- 5 法人仮想通貨投資家が取れる選択
- 6 仮想通貨を売らずに節税をするには?
- 7 ビットコインを”利用”する
- 8 戦略は長期目線かつ前もって行う
- 9 節税時の注意点
- 10 資金力がない場合は選択肢がない
- 11 結論
ビットコインとイーサリアムのわずか1年での大幅高騰は、法人トレーダーにとっては高騰よりも期末の時価評価課税との戦いと言えるでしょう。本稿では法人トレーダーの評価益の合法的な節税戦略についてくわしく解説を行います。
仮想通貨の大きな税制改正と法人運用の節税問題については墨汁マガジンVol.227「平成31年仮想通貨の税制改正による投資戦略への影響」を参照してください。
免責事項
本稿では一般的な法人が取る節税の例や、応用できる点などを紹介しています。実際の戦略を取り生じた損失などは一切責任を取りませんので、予めご了承ください。税制や不安な点は顧問税理士に相談し、自己責任で行ってください。
ビットコイン高騰
ビットコインとイーサリアムのコロナショックからのパフォーマンスはすごく、最安値はBTCとETH共に2020年3月13日で
ビットコイン:44万円
イーサリアム:1万円
となっています。一方で現在はビットコインは400万円を推移し、イーサリアムは13.5万円前後であるため、
ビットコイン:9倍
イーサリアム:13.5倍
ということになります。期末が3月であるとすれば、これらの時価評価課税により多額の法人税の支払いが必要となることになります。
ビットコイン所得額増加は節税にならない
例えばビットコインの期首取得額が100万円で20BTCを保有している場合、期末価格が400万であれば
(400万円 – 100万円) * 20BTC = 6000万円
の時価評価課税となります。一見取得価格を意図的に上げれば時価評価課税額を減らせる用に見えますが、たとえ400万で20BTCを追加で期末に購入したとしても取得単価は
(( 400万円*20BTC ) + ( 100万円 * 20BTC) ) = 1億円
1億円 / 40BTC =250万円
期末価格が400万円で40BTC保有しているので課税対象額は
( 400万円 – 250万円 ) * 40BTC = 6000万円
故に期末に取得額を下げるためにBTCをロングしても意味がないということがわかります。
仮想通貨期末時価評価課税の節税策
ではこのような仮想通貨の期末時価評価課税の節税をどのようにするかというと、