- 1 ミキシングサービスとは?
- 2 ビットコインミキシングサービスは完全匿名ではないという問題
- 3 図解で理解するビットコインのミキシングサービス
- 4 ゼロ知識証明とzk-SNARKsのわかりやすく説明すると?
- 5 zk-SNARKsを活用したトルネードキャッシュの仕組み
- 6 Anonymity Setとは?
- 7 まとめ
イーサリアムの匿名送金を可能にするトルネードキャッシュ(Tornardo Cash)は、Zcash(ZEC)と同様の送金者と受信者を匿名にできるという利点を持つ一方、DeFiや仮想通貨取引所のハッキングによる資金洗浄に使われるなどの問題で米国財務省により金融制裁対象のSDNリストに追加されてしまいました。
トルネードキャッシュはミキシングサービスであり、ゼロ知識証明をベースとしたzk-SNARKsを利用した匿名送金を可能にしています。本稿ではミキシングサービスとゼロ知識証明から見るトルネードキャッシュの仕組みについてわかりやすく解説を行います。
トルネードキャッシュの制裁によるSDNリストへの追加と今後のDeFiへの影響については墨汁マガジン「トルネードキャッシュ(Tornado Cash)の米国金融制裁のSDNリスト追加の影響と今後」を参照してください。
ミキシングサービスとは?
イーサリアムやビットコインのミキシングサービスとは
「BTCやETHの送金を行うトランザクションを集めてその名の通り”ミックス”し、送金先を判別しづらくするサービス」
を指します。
ビットコインのミキシングサービスとしては
1.Coinjoin:2013年
2.Bitcoin Fog:2014年
などのサービスが知られており、1のCoinjoinはビットコインのコアデベロッパーとして知られる”Gregory Maxwell”氏が提案したのが起源となっており、約10年の歴史があるのです。
出典:Bitcointalk – 2013年のGregory Maxwellによる世界初のビットコインミキシングサービスの提案
ビットコインミキシングサービスは完全匿名ではないという問題
CoinJoinのようなビットコインミキシングサービスには欠点があり、
「完全に匿名ではなく、あくまで送金がわかりづらくするサービス」
という点です。
この理由としてビットコインミキシングサービスがBTCの送金者と送金先を集めて”ミキシング”することで、送金先を特定しづらくするという仕組みであることから、確実にBTCの送金元のアドレスと送金先自体は紐づいているのです。
図解で理解するビットコインのミキシングサービス
例えばAというアドレスが、ある送金先に10BTCを送金したい場合CoinJoinでは下図のような形でトランザクションをミックスするのです。
本来の送金の