マガジン内検索

墨汁マガジンVol.239「PoWでのShardingのセキュリティとスケーリングのトレードオフ問題」

目次
  • 1 Shardingのトレードオフ
  • 2 Shard Chainの攻撃コスト
  • 3 マイナーが利己的な行動を取るインセンティブ
    • 3.1 フォークコインは常に中国マイナー主導
    • 3.2 マイナーがフォークコインを作りたがる理由
  • 4 まとめ

Shardingには、状態遷移とUTXOモデルの違いとCross Shardの他にも、大きな壁が存在します。特にZcashの場合にはそれは顕著で、アルゴリズムを大幅に変更しなければならず、エコシステム全体に大きな影響を及ぼすでしょう。

本稿では、Zcashのようなマイニングを必要とするPoWブロックチェーンでShardingを実装する場合に直面する問題と、その大きな原因であるマイナーの利己的な行動について過去の事例をもとに解説を行います。

 

Shardingのトレードオフ

まずはShardingでチェーンを分割した際の、各Shardごとのセキュリティを考えてみましょう。Shard Chainはお互いのネットワーク間の綿密な連携を除いて考えれば、単一のShard Chainは1つのブロックチェーンです。つまり、ZcashのようなPoWによりセキュリティを確保しているブロックチェーンは、

*ここから先はオンラインサロン会員専用です
マガジン内検索