目次
- 1 Shardingのトレードオフ
- 2 Shard Chainの攻撃コスト
- 3 マイナーが利己的な行動を取るインセンティブ
- 3.1 フォークコインは常に中国マイナー主導
- 3.2 マイナーがフォークコインを作りたがる理由
- 4 まとめ
Shardingには、状態遷移とUTXOモデルの違いとCross Shardの他にも、大きな壁が存在します。特にZcashの場合にはそれは顕著で、アルゴリズムを大幅に変更しなければならず、エコシステム全体に大きな影響を及ぼすでしょう。
本稿では、Zcashのようなマイニングを必要とするPoWブロックチェーンでShardingを実装する場合に直面する問題と、その大きな原因であるマイナーの利己的な行動について過去の事例をもとに解説を行います。
Shardingのトレードオフ
まずはShardingでチェーンを分割した際の、各Shardごとのセキュリティを考えてみましょう。Shard Chainはお互いのネットワーク間の綿密な連携を除いて考えれば、単一のShard Chainは1つのブロックチェーンです。つまり、ZcashのようなPoWによりセキュリティを確保しているブロックチェーンは、