- 1 イーサリアムステーキングの当初のロードマップ
- 2 ステーキングされたETHの保管問題
- 3 本来の32ETH引出し手順
- 4 フェイズ2での32ETH引出し図解
- 5 The Merge後の変化
- 6 まとめ
イーサリアムにおけるステーキングは、現在のイーサリアム2.0フェイズ0という開発段階においてデポジットコントラクトにステーキングしている32ETHとバリデータ報酬を引き出すことはできず、ETH2として売却することもできません。さらにEIP-3675″The Merge”により、ETH1とETH2の統合を優先しているため、当初のフェイズ2またはブリッジによる32ETH引出しのロードマップに大きな影響を与えているのです。
本稿ではThe Mergeによって延期の影響を受けているステーキングした32ETHとバリデータ報酬をいつ引出しができるようになるのかについて現在の開発状況を踏まえて詳しく解説を行います。
32ETHの引出し及びブリッジが困難であった理由については墨汁マガジンVol.314「イーサリアム2.0の双方向(2way)ブリッジがフェイズ2までできない理由」を参照してください。
イーサリアムステーキングの当初のロードマップ
イーサリアム2.0における当初のロードマップは、現在のDeFiやNFTが動いているイーサリアムメインネットをETH1とし、その上に展開されるイーサリアム2.0のシステムチェーンであるBeacon Chain及びデータレイヤーとなるShard Chainへ移行するというものでした。
その段階で
フェイズ0:Beacon Chainのローンチとステーキングの開始
フェイズ1:Shard Chainのローンチと送金の開始
フェイズ2:EVM(eWASM)のローンチとコントラクト実行開始
という段階を踏んだものでした。
ですがこのフェイズ0とフェイズ1との間に32ETH及びバリデータ報酬を引き出せるようにするためのETH1とETH2間のブリッジを行う実装が求められたため、Vitalikから2つの実装提案がされたのです。
一方で
「The MergeによるETH1とETH2の先行統合によりこれら2つの32ETH引出し実装の状況が変わってしまっているのが現状」
なのです。
VitalikによるETH1とETH2間のブリッジ(32ETH引出し)提案については墨汁マガジンVol.316「ETH2とETH1ブリッジのVitalikによる新しい提案内容と問題」を参照してください。
ステーキングされたETHの保管問題
では現在のイーサリアム2.0のロードマップにおける32ETH引出しについて見てみましょう。2021年11月末現在、ステーキングされた32ETHはイーサリアム1.0上のデポジットコントラクトないにETHがロックされています。
出典:Etherscan – イーサリアム2.0のステーキングETHを保管するデポジットコントラクト
ここでの大きな問題は
「The Mergeによって