- 1 BUSD発行停止と証券の警告
- 2 Paxosの歴史とステーブルコイン
- 3 ステーブルコインに差し迫る危機
- 4 ステーブルコインのビジネス
- 5 ステーブルコインと証券
- 6 ステーブルコインの今後
- 7 まとめ
イーサリアム上で発行されEVM経済圏やL2でもベース通貨として利用されているステーブルコインは、DeFiにおいても仮想通貨取引所においても必須なインフラであるということは明白です。一方でFTXグループ破綻後に狙い撃ちされている仮想通貨取引所最大手のBinanceは、自社ビジネスだけでなくBUSDの発行停止とSEC(米証券取引委員会)からの証券としての訴訟という”ステーブルコイン規制”の強化懸念が強まっているのです。
本稿ではBinanceのBUSDがきっかけで米規制当局がステーブルコイン規制強化をする懸念と影響についてわかりやすく解説を行います。米国における仮想通貨規制プレッシャーについては墨汁マガジンVol.817「FTX破綻後に激化する仮想通貨業界への規制プレッシャーの大きな影響」を参照してください。
BUSD発行停止と証券の警告
BUSDとはBinanceブランドでPaxos(パクソス)が発行する1:1にドルの裏付けを行うステーブルコインの一種です。PaxosはこのBUSDの影響で規制プレッシャーにさらされており、
・NYFDSからのBUSD発行停止と調査
・SECからBUSDを証券として訴訟警告
の2つの危機的状況に直面しているのです。
NYFDSはニューヨーク州金融サービス局の略であり、BUSDの裏付けの問題から調査及び新規発行停止を命じているということになります。またSECはBUSD自体が証券であるという認識のもと、訴訟する前に回答期間として設けられる警告のウェルズノーティス(Wells Notice)をPaxosに対して通知しているのです。
Paxosの歴史とステーブルコイン
Paxosは2012年に設立され、当時はitBitという仮想通貨取引所として知られていました。itBitは大口投資家や機関投資家が使用することで知られており、ビットコイン価格のインデックスを構成する1つとして採用されるというそれなりの信頼度を持っていたのです。
一方で稀に巨額のオーダーが入る非常に珍しい取引所であったものの流動性に乏しく、2015年にPaxosにリブランドし、2018年9月にUSDCなどのステーブルコインブームに乗って”PAX”をローンチしました。2019年にBinanceと提携してBUSDをローンチし、2022年にPAXをUSDPにさらにリブランドして現在に至ります。
Binanceによると
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