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墨汁マガジンVol.1116「イーサリアムが大きく変わるペクトラアップデートの影響を理解する」

目次
  • 1 イーサリアム「Pectra」を5月7日実装へ
  • 2 Pectraで実装されるEIPの一覧
  • 3 イーサリアムPectraにおける重要なEIPは?
  • 4 EIP-7251はサードパーティへの影響が大きい
  • 5 Rollup Centricのイーサリアムスケーリング加速
  • 6 イーサリアムへの簡易AA導入
  • 7 Pectraにおけるイーサリアムユーザーへの影響
  • 8 まとめ

イーサリアム(ETH)はこれまでのアップデートの中で最も多いEIPを採用した次期大型アップデート「Pectra(ペクトラ)」を2025年5月7日にメインネット実装を行うことが決定しています。本稿ではイーサリアムのPectraアップデートの細かい内容について仮想通貨(暗号資産)投資家向けにわかりやすく解説を行います。

Pectraアップデート前のDencun(デンクン)アップデートで実装されたEIP-4844 Proto-Dankshardingについては墨汁マガジンVol.789「EIP-4844 Proto-Dankshardingとは?図解で理解するイーサリアムへの影響」を参照してください。

 

イーサリアム「Pectra」を5月7日実装へ

イーサリアムファンデーションは次期大型アップデート「Pectra(ペクトラ)」のメインネット実装を2025年5月7日、イーサリアムのCLである「Beacon ChainのEpoch 364032」での実装を正式にアナウンスしました。

 

 

また「ポストPectraアップデート」として次に予定されている大型アップデートのFusaka(フサカ)は2025年末に実装が予定されています。

 

Pectraで実装されるEIPの一覧

イーサリアムのPectraアップデートで実装される「イーサリアム改善提案」は全部で11EIPとなっており、これまでの大型アップデートで最も多い変更なることになります。

 

Pectra EIP一覧EIPの詳細
1EIP-2537BLS署名に採用されているBLS12-381のプリコンパイル
2EIP-2935ブロックハッシュの履歴をステートに保存
3EIP-6110バリデータのETHステークをELに記録
4EIP-7002バリデータExitをELで実行
5EIP-7251ステーキング最大値を32ETHから2048ETHへ
6EIP-7549コミッティインデックスを署名したアテステーションの外側へ移動
7EIP-7623最大ブロックサイズを削減するためCALLDATAのコスト増加
8EIP-7685コントラクトトリガーリクエストの保存
9EIP-7691Blobsのスループット増加
10EIP-7702EOAアカウントコードを設定(簡易AA)
11EIP-7840ブロックごとのターゲット及び最大Blobsのリストカウントをファイルとして追加

 

各EIPの詳細はEIPナンバーのリンクを参照(英語)

Check

 

イーサリアムPectraにおける重要なEIPは?

ではイーサリアムのPectraアップデートでの変更内容について詳しく見ていきましょう。主な変更内容はイーサリアムのCLとELにおける仕様の変更であり、これはイーサリアムがThe Mergeでモジュラーアプローチを取ったことでチェーンがBeacon ChainとETH1エンジンの2つに別れているため、EIPではこれらのどのクライアントからの実行を加えるかなどの整理が行われているものが多いということです。

例えば

 

・EIP

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