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墨汁マガジンVol.1127「【図解】イーサリアムのBeam Chainで導入される「FOCIL」とは?スケーリングを加速させるPreConfsの前準備」

目次
  • 1 イーサリアムの「FOCIL」とは?
  • 2 FOCILで導入するトランザクションのIL構造
  • 3 イーサリアムがFOCILを導入する理由
  • 4 FOCILのILとは?
  • 5 FOCILの仕組み
  • 6 PreConfsやPEPC実装への布石
  • 7 まとめ

イーサリアム3.0ともいえるBeam Chain(ビームチェーン)ではCasper FFGのコンセンサスはそのままで、ZKベースの「SNARKification(SNARK化)」による3GBブロックのスケーリングを可能とするため、より分散とTX検閲耐性を強化した開発ロードマップが用意されています。

本稿ではそのうちでもバリデータの役割を大きく変える「FOCIL」について仮想通貨(暗号資産)投資家向けにわかりやすく解説を行います。イーサリアムBeam Chainについては墨汁マガジンVol.1120「イーサリアムのBeam Chainとは?影響とSNARKificationを理解する」を参照してください。

 

イーサリアムの「FOCIL」とは?

イーサリアムのBeam Chainで実装が提案されているFOCILとは「Fork-Choice enforced Inclusion Lists 」の略であり、

 

「プロポーザー(バリデータ)のBeacon Chainにおけるブロック提案方式に変更により、MEV対策とトランザクション検閲対策、分散性の向上を可能にする新規トランザクション取り込み方式」

 

を指します。

現在大半のブロックプロポーザーはFlashbotsのようなMEV-Boostを介してBuilderからトランザクションを取り込んでおり、このFOCILを導入することでBPSやAPSなどの全体的なコミッティの権限を分離して「分散検閲耐性」をイーサリアムに持たせることが狙いとなっているということです。

 

イーサリアムのCasper FFGにおけるブロック提案のコンセンサスについては墨汁マガジンVol.1119「イーサリアムのCL「Beacon Chain」の仕様と役割を理解する」を参照してください。

 

FOCILで導入するトランザクションのIL構造

それではFOCILについて詳しく見ていきましょう。FOCILでは主にCasper FFGのコミッティ(Committee)の役割を変更するものであり、下記表の通りとなります。

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