- 1 イーサリアムの「FOCIL」とは?
- 2 FOCILで導入するトランザクションのIL構造
- 3 イーサリアムがFOCILを導入する理由
- 4 FOCILのILとは?
- 5 FOCILの仕組み
- 6 PreConfsやPEPC実装への布石
- 7 まとめ
イーサリアム3.0ともいえるBeam Chain(ビームチェーン)ではCasper FFGのコンセンサスはそのままで、ZKベースの「SNARKification(SNARK化)」による3GBブロックのスケーリングを可能とするため、より分散とTX検閲耐性を強化した開発ロードマップが用意されています。
本稿ではそのうちでもバリデータの役割を大きく変える「FOCIL」について仮想通貨(暗号資産)投資家向けにわかりやすく解説を行います。イーサリアムBeam Chainについては墨汁マガジンVol.1120「イーサリアムのBeam Chainとは?影響とSNARKificationを理解する」を参照してください。
イーサリアムの「FOCIL」とは?
イーサリアムのBeam Chainで実装が提案されているFOCILとは「Fork-Choice enforced Inclusion Lists 」の略であり、
「プロポーザー(バリデータ)のBeacon Chainにおけるブロック提案方式に変更により、MEV対策とトランザクション検閲対策、分散性の向上を可能にする新規トランザクション取り込み方式」
を指します。
現在大半のブロックプロポーザーはFlashbotsのようなMEV-Boostを介してBuilderからトランザクションを取り込んでおり、このFOCILを導入することでBPSやAPSなどの全体的なコミッティの権限を分離して「分散検閲耐性」をイーサリアムに持たせることが狙いとなっているということです。
イーサリアムのCasper FFGにおけるブロック提案のコンセンサスについては墨汁マガジンVol.1119「イーサリアムのCL「Beacon Chain」の仕様と役割を理解する」を参照してください。
FOCILで導入するトランザクションのIL構造
それではFOCILについて詳しく見ていきましょう。FOCILでは主にCasper FFGのコミッティ(Committee)の役割を変更するものであり、下記表の通りとなります。