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墨汁マガジンVol.204「ビットコインをReorgによるロールバックは適切か?」

目次
  • 1 過去のbitFlyerのロールバックとその理由
  • 2 トランザクション生成とMempoolの特性
  • 3 Reorgは可能か?
  • 4 まとめ

ビットコインのロールバック発言に関しては、Binanceのハッキングを先に参照してください。

 

過去のbitFlyerのロールバックとその理由

まず、CZがAMAで話したロールバックとはどういうか考えてみましょう。通常取引所がロールバックする時には、取引所側に大きな損失やリスクを負う時に行います。例として、bitFlyerが2017年にビットコイン先物を実装したものの、当時中国の取引所規制が強まっていたことから海外ユーザーの使用も増えてきました。

当時日本国内に住んでいた中国人トレーダー(日本語はしゃべれない)は1000万円の利益を出していたものの、板の薄さによる強烈な下ヒゲによりロスカット。ロスカットということはポジションに対する反対売買が強制でわれるのですが、板が薄いということは価格が飛んでいる可能性が高いことから、100万円→1万円で約定するなどのリスクがあります。通常ロスカットは証拠金の50%なので、証拠金が半分になるだけで済みます。ですが、このような約定が起こった場合、1BTCにつき-99万円なので、レバレッジに比例して証拠金がマイナスとなり(0カットではない)追証となってしまうのです。

当時の中国人トレーダーはこの追証で2000万円以上のマイナスが出てしまい、追証でも払えないしなおかつ日本語も通じないという自体が起きました。bitFlyerは3営業日ほどの資金振込がされるまでに、この2000万円のマイナスを顧客の代わりに負う必要があり、この中国人トレーダーが国外(中国)へ逃亡してしまえば、2000万円の損失を被ることになるので、この約定を無効にするロールバック(1日前の0:00の状態に戻す)を行ったのです。

このように、取引所のシステム障害ではロールバックは行わないものの、取引所の自己都合でロールバックを行うことは多々あるのです。

 

トランザクション生成とMempoolの特性

ですが、今回のようにすでに出金されてしまい、ブロックチェーン上に書き込まれた取引はロールバックを行うことはできません。取引所内の約定はあくまでビットコインチェーン外のやり取りなので、取引所の自己都合で簡単にロールバックしますが、ビットコインは基本的にネットワークにブロードキャストされると、

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