- 1 ブロックチェーンのセキュリティの鍵
- 2 Proof of Stakeと分散性の問題
- 3 PoAが生み出す新たなインセンティブ
- 4 PoAとインターオペラビリティ
- 5 PoAの問題
- 6 まとめ
Proof of AuthorityはイーサリアムテストネットGoerliで採用されているコンセンサスアルゴリズムの方式の一つで、最近ではBinanceのBSCやEnjinのJumpNetがPoAを採用しています。本稿ではPoAを採用する利点と欠点について詳しく解説を行います。
GoerliのPoAの概要については墨汁マガジンVol.205「GoerliテストネットとPoA(Proof of Authority)とは?テストネットの利点を図解で理解する」を参照してください。
ブロックチェーンのセキュリティの鍵
まずProof of Authotity(以下PoAとする)の利点を見る前に、ブロックチェーンのセキュリティの鍵についてみてみましょう。
ブロックチェーンは例えば企業や個人がデータを管理するわけではなく、アルゴリズムによって不特定多数の参加者がいることによって合意を形成し、セキュリティを保っています。これはビットコインやイーサリアムを例に見てわかるように、
「実施的にかかる攻撃コストが現実的に見て不可能なレベルの参加者が必要」
だということです。
なのでビットコインキャッシュやイーサリアムクラシックのようなフォーク(チェーンをコピーまたは分離したもの)は参加者の少なさからハッシュレートが低く、セキュリティ上の問題や実際に攻撃を受けたりしています。これらのことから最近のトレンドとしてはマイニングのようなプロトコル外の過剰な投資が必要であり、高い電気代という永続コストが不要なコンセンサスアルゴリズムが採用されているのです。
従ってマイニングを必要とするPoWは画期的ではあるものの万能ではなく、新たなブロックチェーンネットワークには不向きであることがわかるでしょう。
Proof of Stakeと分散性の問題
イーサリアムの発明者Vitalikはこの問題を2014年時点で理解しており、そのためイーサリアムは2015年のローンチ前からProof of Stake(以下PoSとする)へ移行することが前提で開発を進めてきました。イーサリアム2.0で使用しているコンセンサスアルゴリズムのCasper FFGでは、通常のPoSと異なりバリデータのランダム選出やスラッシャーによるペナルティなどがあります。
一方で通常のPoSで問題となるのが