- 1 トービン税(Tobin Tax)とは?
- 2 Terraにトービン税が必要な理由
- 3 Terraの問題を解決する
- 4 トービン税の引き上げ理由
- 5 まとめ
Terra Networkが発行する”UST(TerraUSD)”などの第2世代のアルゴリズミックステーブルコインは、Curve Financeの新たな対ファクトリープールとしての売買主軸ステーブルコインとして議論されるなど2022年にはいってさらに注目を集めています。このTerra Networkにおけるステーブルコインのペッグを安定させるための仕組みとして、トービン税(Tobin Tax)などの仕組みが導入されており、オーバーコラテラルの仕組みを持つMaker DAOや、部分担保のFrax Financeが発行するFRAXとは異なるエコシステムを持つのです。
本稿ではTerra Networkが導入しているトービン税(Tobin Tax)と導入していることで防げる裁定攻撃やUSTなどのペッグの安定への影響についてはわかりやすく解説を行います。部分担保のFrax Financeの仕組みについては墨汁マガジンVol.573「図解で理解するFRAXの仕組み Pt.1 部分担保の新たなステーブルコインFrax Financeとは?」を参照してください。
トービン税(Tobin Tax)とは?
トービン税(Tobin Tax)とは名前のもととなるノーベル経済学賞受賞者の”ジェームズ・トービン(James Tobin)”が提唱した通貨売買に対する税制のことで、
「短期的な特定通貨に対する投機を抑制し、その通貨価格の安定性を維持する」
という目的としたものとなっています。
Terraはこのトービン税を導入しており、提供されているプラットホーム”Terra Station”でのスワップには
「USTやJPTなどのTerraが発行するステーブルコインの売買時にトービン税を支払う必要がある」
のです。
実際にUSTとJPTのスワップを確認すると、スプレッドとして”Terra Tobin Tax”を確認することができ、0.35%であることがわかります。
このTerraにおけるトービン税はUSTなどのペッグ安定のためにガバナンスで一時的に引き上げや引き下げなどにより変動するため、その時のTerraエコシステムに依存するといえるでしょう。
出典:Terra Network – TerraステーブルコインをスワップするTerra Stationとトービン税
USTがドルにペッグする仕組みについては墨汁マガジンVol.689「図解で理解するUSTがLUNAによってペッグする仕組み TerraとFrax Financeの違い」を参照してください。
Terraにトービン税が必要な理由
ではTerraがトービン税を導入した理由について見ていきましょう。トービン税が注目されたのは