- 1 Maker DAOの資金効率問題
- 2 Frax FinanceのFRAXとは?
- 3 FRAXの担保比率
- 4 FRAXのUSDCペッグインセンティブ
- 4.1 FRAXが1ドル以上の場合
- 4.2 FRAXが1ドル以下の場合
- 5 FRAXの通貨発行益(Seigniorage)とは?
- 6 まとめ
Maker DAOでイーサリアムやビットコインなどを担保に発行するステーブルコインのDAIは、USDCやUSDTなどの企業が発行するカストディアン型のステーブルコインと異なり”アルゴリズミックステーブルコイン”と呼ばれています。一方でこのようなDAIのような担保の仕組みでは、DAIのペッグや価値がある程度1ドルにペッグするものの、資金効率が悪いという問題があります。
最近のDeFiではMaker DAOをベースとし、この資金効率を上げるための新たなアルゴリズミックステーブルコイン”FRAX”などがローンチしています。本稿ではIron Financeのフォーク元であるFrax Financeの新しいアルゴリズミックステーブルコイン”FRAX”について詳しく解説を行います。
Maker DAOのDAIの仕組みについては墨汁マガジンVol.256「図解で理解するMaker DAOのDAI発行と担保の仕組み」を参照してください。
Maker DAOの資金効率問題
Maker DAOでは、DAIの価値を保つためETHやWBTCなどを担保としてコントラクトのVaultに預入ることでDAIを発行することができます。ですがこれはデジタル質屋のようなものであり、担保としたETHやWBTCの150%の担保率つまり66.6%以下の資金しか運用できません。このような仕組みはステーブルコインとしての安定性としての利点はある一方、DAIを運用する場合の担保通貨との資金効率を見ると清算を考慮すると実質的に半分以下という問題があります。
これはDeFi上でのレバレッジという面では非常に有利ではある一方、イールドファーミングや流動性マイニングとして使用するにはこの資金効率がネックとなると言えるでしょう。DeFiにおけるレバレッジについては墨汁マガジンVol.568「図解で理解するETH2X-FLIの仕組み レバレッジトークン発行と焼却手順」を参照してください。
Frax FinanceのFRAXとは?
Maker DAOのようなETHやWBTCなどの”シングル担保”のステーブルコインに対し、Frax Financeで発行するステーブルコインのFRAXは”部分担保ステーブルコイン(Partially Collateralized Stablecoin)”として新たなアルゴリズミックステーブルコインの実証実験を行っています。Frax Financeには
FRAX:1ドルペッグのステーブルコイン
FXS(Frax Share):部分担保及びガバナンストークン
の2種類があり、FRAXは担保としてUSDCを