- 1 32ETH引出しが即座にできない理由
- 2 Withdrawal Credentials(引出し認証情報)とは?
- 3 Withdrawal Credentialsの技術詳細
- 4 Beacon Chain側の実装
- 5 eth1エンジン側の実装
- 6 Withdrawal Credentialsの課題
- 7 まとめ
イーサリアム2.0にステーキングされたETHまたはLido Finance(ライドファイナンス)などのステーキングプールを介してステーキングされている32ETHは、The Merge(マージ)によるイーサリアムのPoSへの完全移行後のアップデートで引出しが可能になるロードマップとなっています。
すでにBeacon Chain(ビーコンチェーン)にはバリデータの引き出し処理が実装されていますが、The Merge後に32ETHを引き出せるようになるにはETH1及びETH2側で別の実装が必要となるのです。本稿ではThe Merge後に32ETHを引出しするために必要な実装と2022年時点での最新の情報について非エンジニア向けにわかりやすく解説を行います。
32ETHの引出しプロセスについては墨汁マガジンVol.699「図解で理解するイーサリアム2.0ステーキングの32ETH引き出しと待機時間」を参照してください。
32ETH引出しが即座にできない理由
まず最初に前提知識としてイーサリアム2.0においてなぜ32ETHが即座に引き出せないかを理解しておきましょう。
イーサリアム2.0のステーキングはデポジットコントラクトに32ETHをステーキングするか、Lido Financeなどを介して間接的にステーキングするかの2択となります。このデポジットコントラクトからステーキングされた32ETHからバリデータの登録をBeacon Chainが行うのです。
このステーキングが
「”1way”つまり片道であるということは、32ETHを引き出すための検証も片道でありETH1側で検証ができない」
ということです。
従ってBeacon Chain(ETH2)及びeth1エンジン両者共に引出しのための実装が必要ということになります。より詳しくは墨汁マガジンVol.314「イーサリアム2.0の双方向(2way)ブリッジがフェイズ2までできない理由」を参照してください。
では順を追ってこの必要な実装についてみていきましょう。
Withdrawal Credentials(引出し認証情報)とは?
イーサリアム2.0におけるWithdrawal Credentialsとは日本語で”引出し認証情報”または”引出し資格情報”を意味しBLS署名を活用した
「32ETHの引出し先のETH1アドレス情報及び登録」
を指します。
このWithdrawal Credentialsは