- 1 イーサリアム2.0で7ブロックものReorg発生
- 2 開発者とバリデータ側の”認識の乖離”が根本原因
- 3 Casper FFGのブロック生成の仕組み
- 4 フォークチョイスルール
- 5 EthashとCasper FFGでの違い
- 6 まとめ
イーサリアムはPoSへの完全移行である”The Merge(マージ)”を今年控えており、イーサリアム2.0のBeacon Chain(ビーコンチェーン)とイーサリアム1.0のeth1エンジンがどれほど安定しているかがThe Mergeを行う決断の重要な判断項目となっています。
そんな中イーサリアムで過去に類をみないBeacon Chainで7ブロックものReorg(ブロック再編成)が発生し、バリデータ報酬やアテステーション報酬が失われる自体となりました。本稿で2022年5月25日起きたイーサリアム2.0初のReorgの原因と今後のThe Mergeへの影響について非エンジニア向けにわかりやすく解説を行います。
eth1エンジンについては墨汁マガジンVol.601「図解で理解するイーサリアムのETH1とETH2統合”The Merge”Pt.2 ETH1エンジンとは?」にてわかりやすく解説しています。
イーサリアム2.0で7ブロックものReorg発生
DeFiやNFTマーケットプレイスが動いているイーサリアム1.0と”並行して稼働している”イーサリアム2.0の”Beacon Chain(ビーコンチェーン)”では、32ETHをデポジットコントラクトにステーキングすることでバリデータ登録をすることができ、イーサリアムのPoSである”CasperFFG”のネットワークに事前参加することができます。
今回起きたReorg事件では、
「イーサリアム2.0のBeacon Chainが7ブロックReorgされてしまい、ブロック提案をしたプロポーザーの報酬などが失われたものの、DeFiやNFTマーケットプレイス、ETH自体の価値には影響しない」
事件となっています。
ここでのReorgとはCasperFFGにてフォーク先のコンセンサス投票を行うアテステーションと、そのバランスが新規導入された”プロポーザーブースト(Proposer Boost)”によって引き起こされた本来スロットに入っていた”正のブロック”だったものが、スキップブロックとなってしまったことを指します。
イーサリアム2.0のスキップブロック(Skip-Block)については墨汁マガジンVol.398「ETH2バリデータのプロポーザーとアテスター フォークチョイスルールによる合意形成の仕組み」を参照してください。
開発者とバリデータ側の”認識の乖離”が根本原因
上記でみてもイーサリアム2.0の仕組みを完全に理解しておかないと何が起きてどのように今後に影響するかが非常に分かりづらいのが今回のReorg事件となっています。一つ一つ順をおってみていきましょう。
今回のBeacon ChainのReorg原因はバグではなく、
「