- 1 ソラナの仕組み解説一覧
- 2 SVM採用の仮想通貨プロジェクト
- 3 SVMはシングルスレッド?マルチスレッド?
- 4 シングルスレッドとマルチスレッド
- 5 SVMの「Low-Level Optimization」
- 6 ソラナにおけるコントラクト実行
- 7 InstructionsによるSVMの最適化
- 8 SMIDによるさらなる最適化
- 9 SVMの課題と問題点
- 10 まとめ
仮想通貨(暗号資産)のソラナ(Solana)はai16zなどのAIエージェントやトランプコインなどのミームコインによってイーサリアムとは異なる需要を獲得しており、FTX破産で一時大暴落したものの現在は「SVM」の非EVM Rollupなどによって注目を集めています。
本稿ではイーサリアムが圧倒的なシェアを誇るEVMに対し、ソラナの中核となる「SVM」の仕組みについて仮想通貨(暗号資産)投資家向けにわかりやすく解説を行います。
ソラナの仕組み解説一覧
墨汁マガジンVol.621「VDF(Verifiable Delay Function)とは?イーサリアム2.0により高いセキュリティを実現する関数を理解する」
墨汁マガジンVol.622「Solana(SOL)のProof of Historyとは?VDFを用いた”非中央集権時計”を理解する」
墨汁マガジンVol.624「Solana(SOL)のTower BFTとは?Proof of Hisotryを用いた非同期PBTFを理解する」
墨汁マガジンVol.627「Solana(SOL)のLeaderとClusterとは?MempoolレスのGulf Streamの仕組み」
墨汁マガジンVol.628「図解で理解するSolanaの概要と仕組み イーサリアム2.0と比較するとどうなのか?」
SVM採用の仮想通貨プロジェクト
SVMとは「Solana Virtual Machine」の略であり、最近ではソラナのバーチャルマシン(VM)のみを指すのではなく、SVMを導入したソラナまたはイーサリアム関連プロジェクトのことを指します。
2025年4月の現状ではイーサリアムRollupのSVMであるEclipseの6500万ドル資金調達以外は全体的に規模が小さく、5つのプロジェクトしかないもののSVMの特性を活かした新たなソラナエコシステムが少しずつ増えてきているということわかるでしょう。
SVM関連プロジェクトの一覧は下記の通りとなります。
プロジェクト | 公式X(Twitter) | 資金調達額 | 種類 | 関連プロジェクト |
---|---|---|---|---|
Eclipse | @EclipseFND | 6,500万ドル | イーサリアムL2 SVM | Celestia |
SOON | @soon_svm | 3,800万ドル | SVM Rollup | EigenLayer |
Solyaer | @solayer_labs | 2250万ドル | ソラナL2 | |
SonicSVM | @SonicSVM | 3500万ドル | ゲームチェーン | |
Fogo | @FogoChain | 1350万ドル | SVM L1 |
SVMなどのEVM以外のVMを採用した「非EVM Rollup」については墨汁マガジンVol.1110「SVMやMoveVM導入の非EVM Rollupとは?サブスリームとしての選択肢を理解する」を参照してください。
SVMはシングルスレッド?マルチスレッド?
ソラナのコントラクト実行のためのVMはEVMと比較して「SVM(Solana Virtual Machine)」と呼ばれていますが、実際には「Sealevel」というプロトコル名称があります。
このSealevelを説明するとき、イーサリアムを引き合いに
「EVMはシングルスレッド(Single Threaded)だから遅い」
という表現が用いられますが、これは間違いでSVM(Sealevel)単体でみるとEVMと同じシングルスレッドであるためです。つまりソラナがコントラクトの平行実行を可能としているのはその仕組みとプロトコル全体でLow-Level Optimizationにより実現しているということになるでしょう。
順を追ってみていきましょう。
EVM単体によるスケーリングを比較することはTPS単体で性能を比較するのと同じであり、意味をなさない
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シングルスレッドとマルチスレッド
シングルスレッド(Single Threaded)とマルチスレッド(Multi Threaded)はスケーリングに大きく影響するアプローチであり、これらを正しく理解する必要がありますがこれは順に処理を行うシングルスレッドと、並列に複数の処理を行うアプローチを指し、最近ではパソコンの性能を表す際にCPUの「18コア36スレッド」という表現を目にすると思います。
単純にこのコアとスレッド数が多いほどより性能が高いと考えることができ、これらをブロックチェーンに落とし込んだところシングルスレッドのEVMに対して自分らのVMが優れているということを表すために使われる表現であるということです。ですがこれらはVM自体の性能や開発の持続性を表すものではなく、TPSによる単純比較の意味をなさないことであると言えるでしょう。
シングルスレッドではそのチェーン単体では並列実行はできませんが、イーサリアムのShardingアプローチやOP StackなどのRollupによる並行ネットワークでマルチスレッドな1つのネットワークとして開発アプローチが成されているのが現在のイーサリアムです。
SVMの「Low-Level Optimization」
SealevelはLow-Level Optimization、つまりコードの