- 1 キープレイヤーが語る、日本のステーブルコイン普及激論会
- 2 JPYCにおける収益モデルと未達債務
- 3 国債と利回りによる収益とポジション
- 4 債券のニュートラルから見るJPYCの収益課題
- 5 国債での運用には破綻以外にもリスクがある
- 6 まとめ
福岡でブロックチェーン企業「暗号屋」主催のカンファレンス「キープレイヤーが語る、日本のステーブルコイン普及激論会」に参加してきました。ここではJPYC株式会社代表の岡部典孝氏と南大学教授の内田善彦氏を迎えたJPYCに対する鋭い問題提起が行われておりステーブルコインビジネスの行く末について激論が交わされています。
本稿ではJPYCの行く末と日本におけるステーブルコインビジネスが浸透するのか、今後の影響と問題点について仮想通貨(暗号資産)投資家向けにわかりやすく解説を行います。
JPYCについては墨汁マガジンVol.1176「円ステーブルコイン「JPYC」の概要 日本における規制と資金移動業型ステーブルコインの利点とは?」を参照してください。
キープレイヤーが語る、日本のステーブルコイン普及激論会
2025年11月24日、合同会社暗号屋主催のステーブルコインカンファレンス「キープレイヤーが語る、日本のステーブルコイン普及激論会」に参加してきました。
普段は表舞台には顔を見せない墨汁うまいですが、ここでの登壇者が
JPYC株式会社:岡部典孝氏(@noritaka_okabe )
周南大学教授:内田善彦氏(@uchida_tomato )
みんなの銀行:渋谷定則氏(@geeky_banker )
という非常に興味深い方々となっていたことが大きな理由であり、普通のカンファレンスでは聞けない内容が聞けると考えたためです。
岡部氏は今や金融庁によるJPYCの正式認可によりときの人ととなっており、多くのイベントで引っ張りだこです。一方で自分が興味があったのが、金融庁と日銀という異例の経歴を持つ周南大学教授の内田さんとの激論会という点であり、狙い通り他では聞けない非常に深く切り込んだ内容となっていたのです。
ここではJPYCのステーブルコインビジネスモデル、さらにはそのビジネスモデルの安定性に関わる世界経済の話をハイレベルで問題提起しており、今後の仮想通貨エコシステムにも大きな影響を与える内容となっています。
ステーブルコインビジネスについては墨汁マガジンVol.1106「USDCのCircleはなぜIPOをどうしても行いたかったのか?ステーブルコインビジネスを理解する」を参照してください。
JPYCにおける収益モデルと未達債務
内田さんがまず繰り出した質問は
「JPYCの未達債務とそこから予測される収益の損益分岐点」
という点で、この未達債務とはすなわちJPYCの発行における裏付けの預り資金を指し、金融庁の承認の資金移動業型JPYCの発行が始まって1ヶ月で2億円という点に着目したものです。
これはステーブルコインビジネスの収益源が
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