- 1 イーサリアムCasper FFGの解説一覧
- 2 イーサリアムでネットワーク障害
- 3 イーサリアムで何が起きたのか?
- 4 アテステーションとEpoch
- 5 アテステーションの検証とステートの再現
- 6 負の連鎖
- 7 Casper FFGのコンセンサス閾値
- 8 まとめ
イーサリアムは大型アップデート”マージ(The Merge)”により現在は独自のProof of Stake(プルーフ・オブ・ステーク)、Casper FFGによりネットワークを維持しています。そんな中2023年5月12日から13日にかけて2度のネットワーク障害が起き、Casper FFGのコンセンサスの1つである”ファイナライズができないファイナリティ問題”が発生しました。
本稿ではこのイーサリアムネットワークの障害で何が起きたのか、どのような理由で起きたのかについてCasper FFGの仕組みから非エンジニア向けにわかりやすく解説を行います。
イーサリアムCasper FFGの解説一覧
Vol.257「イーサリアム2.0 バリデータのペナルティ”Inactivity Leak”でスラッシュされる条件」
Vol.259「イーサリアム2.0 ステーキングペナルティ Partial Slashingとは?」
Vol.398「ETH2バリデータのプロポーザーとアテスター フォークチョイスルールによる合意形成の仕組み」
Vol.399「イーサリアム2.0コミッティ(Committee)とは?ETH2ブロックプロポーザーへのDDoS攻撃問題」
Vol.630「イーサリアム2.0のスラッシャー(Slasher)とは?Casper FFGのペナルティコンセンサス」
Vol.632「イーサリアム2.0のアテステーション(Attestations)とは?Justificationとアルタイルでの報酬形態」
イーサリアムでネットワーク障害
イーサリアムネットワークにおけるコンセンサスレイヤー(Consensus Layer = CL)のBeacon Chain(ビーコンチェーン)において、2023年5月12日から13日にかけてCasper FFGのコンセンサスを得られずにファイナライズできない問題が発生しました。
このCasper FFGのコンセンサス問題は2度にかけて発生し、最大で1時間ほどイーサリアムのスロット及びブロックをファイナライズできなかったということになります。幸いにも2回ともに最終的にはファイナライズできており、これらの影響は実行レイヤー(Execution Layer = EL)にはないためイーサリアム大きな問題とはなっていません。
ですが今回のファイナリティの問題には
「イーサリアムバリデータにとっては影響がでており、最悪の場合スラッシュされる可能性があった出来事である」
と言えるのです。
イーサリアムで何が起きたのか?
では実際にイーサリアムで何が起きたのかについて見ていきましょう。
まずファイナライズできなかったのは
「バリデータがCasper FFGのコンセンサス閾値を大きく下回るほど一時的にオフラインになった」
ことが理由であり、この原因は
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