- 1 DAIの担保としてUSDCを実装
- 2 USDCのコラテラル条件
- 3 USDCを採用した理由と整合性を取るには?
- 4 USDCの利点
- 5 DAIの発行とレバレッジの違い
- 6 まとめ
イーサリアムのDeFiの中核であるMaker DAOは、2020年3月12日のコロナショックの余波である記録的なETH価格の大暴落に伴い、大幅なDAIのCDPデフォルトが発生。イーサリアムガスプライスの高騰と混雑により、400万DAIを超える二次被害を引き起こし、このMaker DAOの事件はブラックサーズデーと呼ばれています。
その後、Maker DAOは一時的な措置として中央集権ステーブルコインのUSDCをMCDの担保に実装、大きな反響を呼びました。本稿ではUSDCを実装した理由と、その影響について詳しく解説を行います。
Maker DAOの400万ドル(DAI)問題については墨汁マガジンVol.394 「Vol.390 ETH暴落とMaker DAOの400万ドル問題 DAI保有者はどうするべきか?」を参照してください
DAIの担保としてUSDCを実装
Maker DAOは、ETHのみによって担保されているステーブルコインDAIからERC20トークンも担保とすることができるMCDを2019年11月19日にローンチしました。2020年4月現在の時点で、DAIを発行するために使用できる担保は
・ETH(Maker DAOローンチ時)
・BAT(2019年11月19日追加)
・USDC(2020年3月17日追加)
となっています。MCDの仕組みについては墨汁マガジンVol.331 「SAIとMCDとは? マルチコラテラルDAIとDSRの仕組み」を参照してください。
USDCのコラテラル条件
USDCはDAIと異なり、米サークルが発行するUSDTと類似した中央集権ステーブルコインです。USDCのペッグはユーザーが発行するUSDCに対し同数のUSDをサークルが保管することで、1USDにペッグしています。つまり完全中央集権であるUSDCを唯一の非中央集権ステーブルコインであるDAIの担保に入れることはDAIの担保にリスクを及ぼすことになります。
そのため条件は他のトークンより厳しく下記のようになっています。
安定化手数料:20%/年
担保レート:125%
Debt Ceiling:2000万
清算ペナルティ:13%
コラテラルオークションロット:50,000USDC
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USDCを採用した理由と整合性を取るには?
ではなぜMaker DAO、イーサリアム全体の理念である非中央集権を逸脱してまでもUSDCを追加したのでしょうか?その大きな理由は