- 1 イーサリアムのみでスケーリングする理由
- 2 Shardingにおける密な連携の重要性
- 3 サイドチェーンのコンポーザビリティ問題
- 4 L2におけるスケーリング
- 5 まとめ
イーサリアムは次世代ブロックチェーンとなるイーサリアム2.0をリサーチ、開発、実装を行っており、マイニングを必要とするProof of Workでは実現することができない”オンチェーンスケーリング”を実現しようとしています。一方で非常に複雑なイメージをイーサリアム2.0は持たれ、全体を把握しづらいという問題があるでしょう。本稿ではイーサリアムがイーサリアム2.0とL2を用いて”イーサリアムネットワークだけで実現するスケーリング”について詳しく解説を行います。
L2については墨汁マガジンVol.565「L2の3つのコア技術RollupとPlasma、ステートチャンネルの利点と欠点を理解する」を参照してください。
イーサリアムのみでスケーリングする理由
イーサリアムのワールドコンピュータというコンセプトでは、エコシステム全体を1つのネットワークとして密に連携できることを念頭に、イーサリアム2.0を開発しています。このコンセプトの元、ブロックチェーン上のみであるオンチェーンスケーリングを可能にするにはShardingのようなチェーンを複数に分割する要があるのです。
一方で複数にチェーンを分割するとお互いのチェーン上にあるコントラクトのコンポーザビリティに影響を及ぼします。つまり、イーサリアム2.0におけるShardingでは各Shard毎に密に連携を取る必要があり、
「タイトなネットワークでなければスケーリングはできてもコンポーザビリティをおろそかにしてしまう」
ということになるのです。
このような理由からイーサリアムにはサイドチェーンやインターオペラビリティは必要ではないため、イーサリアム2.0とL2でスケーリングを行なうことを念頭に開発されています。コンポーザビリティについては墨汁マガジンVol.571「イーサリアムが重視するコンポーザビリティ(Composability)とは?」を参照してください。
より具体的に見ていきましょう。
Shardingにおける密な連携の重要性
Shardingはただチェーンを分割しているのではなく、各Shard Chainが密に連携するように開発が進められています。これは各Shardごとの