- 1 DeFiとフロントランニング問題の解説一覧
- 2 AMMとDEXの歴史
- 3 嫌がらせ攻撃(Griefing Attack)とは?
- 4 Griefing Attackの影響
- 5 フロントランニングの例
- 6 フロントランニングのGriefing Attack化
- 7 この対策が直面する問題
- 8 まとめ
DeFiのフロントランニングはイーサリアムにおけるガス代の高騰と合わせて2020年から2021年にかけて大きな問題となりました。AMMベースのUniswapやCurve Financeのようなイーサリアム上の分散取引所は、送金せずに気軽にスワップできる利点と投資家が売買環境を提供できる胴元になれるという点が革命であり、現在もイーサリアムの重要インフラであると言えるでしょう。
一方でブロックチェーンという特性上、DeFiにはフロントランニング問題によるガス代高騰やMEV、さらには意図的な価格操作で利益を得るサンドイッチ攻撃(Sandwich Attack)などの問題があります。本稿ではフロントランニングをさらに利用したDeFiのサンドイッチ攻撃について詳しく解説を行います。
DeFiとフロントランニング問題の解説一覧
墨汁マガジンVol.295「イーサリアムのガス手数料モデルの欠陥と攻撃インセンティブ」
墨汁マガジンVol.518「イーサリアムDeFiのフロントランニング問題とは?なぜフロントランニングが起きるのか」
墨汁マガジンVol.582「MEVとは?図解で理解するイーサリアムDeFiのMEV問題」
墨汁マガジンVol.588「図解で理解するFlashbotsの仕組み MEVを得つつDeFiのフロントランニングとガス高騰を抑制」
墨汁マガジンVol.589「Flashbotsがイーサリアムガス代の下落に影響しない場合のシナリオと理由」
AMMとDEXの歴史
実はAMMの歴史は古く、最初の提案は2016年9月にさかのぼります。イーサリアム初のDEX(Decentralized Exchange)の提案はUniswapではなく、元イーサリアムコアデベロッパーで現ENSのリードデベロッパーであるNick Johnson氏によるDEVCONでの提案でした。
当初は
「Euler:シンプルな取引所かつトークン」
というものでした。
2016年10月にイーサリアム発明者のVitalikがこのDEX提案をベースアイデアに、当時キラーDappsとして注目されていた予想市場であるAugurに似たDEXとしてAMMの初期アイデアを提案。
そして2年後の2018年3月にx*y=kの曲線とともに最終提案を行い、2018年11月にこのAMMの仕組みを採用したUniswapがローンチしたのです。
x*y=kの仕組みについては墨汁マガジンVol.616「図解で理解するAMMのスリップの仕組み x*y=kの曲線から価格影響を計算する」を参照してください。
嫌がらせ攻撃(Griefing Attack)とは?
イーサリアムの特性上、マイナーやトランザクションを監視するノードはUniswapのオーダーを観測することが可能です。これらの特徴からAMMにはフロントランニングの懸念と、フロントランニングを防止した際の”Griefing Attack”という問題がありました。
Griefing Attackとは
「コントラクトのサブコール(sub-call)時