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墨汁マガジンVol.758「EIP-4895とPartial Withdrawls(部分引出し)がETHバリデータのために必要な理由」

目次
  • 1 イーサリアムステーキング引き出し解説一覧
  • 2 バリデータのETH引出しで重要なことを考える
  • 3 Partial withdrawals(部分引出し)
  • 4 EIP-4895のみの場合
  • 5 Partial Withdrawalsの実装
  • 6 実装の仕様
  • 7 まとめ

マージを完了したイーサリアムはポストマージの大型アップデートとしてバリデータがステーキングしている32ETHを引き出しするための実装であるEIP-4895が有力候補としてデベロッパーに議論されています。

EIP-4895が32ETHの引出しを行う実装である一方、バリデータの運用を考慮すると他にも多くの実装が必要であり、既にイーサリアム2.0リサーチャーによってWithdrawals Push(EIP-4895)以外にも多くの提案が話し合わせれているのです。

本稿ではバリデータが今後報酬のETH及びステーキングした32ETHを引き出すために議論されている実装についてわかりやすく解説を行います。

 

イーサリアムステーキング引き出し解説一覧

 

墨汁マガジンVol.699「図解で理解するイーサリアム2.0ステーキングの32ETH引き出しと待機時間」

墨汁マガジンVol.711「イーサリアム2.0ステーキングの引出し実装 “Withdrawal Credentials”(引出し認証情報)とは?」

墨汁マガジンVol.741「【図解】イーサリアムで支払われる手数料はThe Merge後どうなるのか?バリデータ報酬の変動と取り扱い」

墨汁マガジンVol.748「イーサリアム2.0のFee Recipientとは?マージ後にバリデータ報酬を受取るための設定方法」

墨汁マガジンVol.750「マージに向けてイーサリアムバリデータが知らなければいけないこと」

墨汁マガジンVol.752「イーサリアム”マージ(The Merge)”で変更される構造を理解する ETHへの影響は?」

墨汁マガジンVol. 「EIP-4895の”Withdrawl Push”とは?バリデータの32ETH引出し実装の現状と上海アップデート」

 

バリデータのETH引出しで重要なことを考える

EIP-4895のWithdrawals Pushでは主に32ETHの引き出しがメインとして考えられていますが、バリデータを運用し続けるにあたってバリデータPCの電気代やSSD容量の維持や増加という運用コストを考えると、すべてのETHと報酬を引き出すのではなく部分的なETH引き出しが重要であるということになります。

現在のBeacon Chainの仕様では墨汁マガジンVol.699「図解で理解するイーサリアム2.0ステーキングの32ETH引き出しと待機時間」で解説したようにバリデータの”Exit”が前提となります。

この場合の問題として

 

「バリデータ運用を継続できないため再度32ETHをデポジットコントラクトへステーキングし直す必要があり、さらにExitの待機時間という成約がある」

 

のです。

つまりバリデータは部分的にETHを引き出せる必要があるということがわかるでしょう。

 

Partial withdrawals(部分引出し)

Partial withdrawalsとはその名前の通り

 

「部分的なETHをBeacon ChainからETH1エンジンへの引き出し」

 

を指します。

Partial withdrawalsの条件

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