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墨汁マガジンVol.757「EIP-4895の”Withdrawl Push”とは?バリデータの32ETH引出し実装の現状と上海アップデート」

目次
  • 1 イーサリアムステーキング引き出し解説一覧
  • 2 EIP-4895:32ETHの引き出し実装提案
  • 3 EIP-4896は上海アップデートに含まれるのか?
  • 4 EIP-4788
  • 5 EIP-4896の利点
  • 6 今後のイーサリアムに必要な実装
  • 7 まとめ

イーサリアムはマージ(The Merge)という超大型アップデートを終え、ポストマージとしてバリデータがステーキングしている32ETH及びバリデータ報酬を引き出しの仕様や次のアップデートとなる”シャンハイ(上海)ハードフォーク”にEIPとして含むべきかについての議論が行われています。

本稿ではイーサリアムバリデータ及びETH投資家が理解しておくべき現在のETH2バリデータ報酬引き出し実装の仕様であるEIP-4895とシャンハイアップデートに含まれるのかの現状についてわかりやすく解説を行います。

 

イーサリアムステーキング引き出し解説一覧

 

墨汁マガジンVol.699「図解で理解するイーサリアム2.0ステーキングの32ETH引き出しと待機時間」

墨汁マガジンVol.711「イーサリアム2.0ステーキングの引出し実装 “Withdrawal Credentials”(引出し認証情報)とは?」

墨汁マガジンVol.741「【図解】イーサリアムで支払われる手数料はThe Merge後どうなるのか?バリデータ報酬の変動と取り扱い」

墨汁マガジンVol.748「イーサリアム2.0のFee Recipientとは?マージ後にバリデータ報酬を受取るための設定方法」

墨汁マガジンVol.750「マージに向けてイーサリアムバリデータが知らなければいけないこと」

墨汁マガジンVol.752「イーサリアム”マージ(The Merge)”で変更される構造を理解する ETHへの影響は?」

 

 

EIP-4895:32ETHの引き出し実装提案

EIP-4895とは2022年3月10日に作成されたイーサリアムの実装改善提案であるEIPの1つで

 

「バリデータがデポジットコントラクトにステーキングしている32ETHをBeacon ChainというCL(コンセンサスレイヤー)からEL(実行レイヤー)に引き出しを行う実装を”システムレベル”のオペレーションタイプを追加する」

 

という提案です。

EIP-4895は”Beacon chain push withdrawals as operations”とあるように、マージ後のイーサリアムの”コンセンサスレイヤーから実行レイヤーへETHを引き出す(押し出す)”の意味を反映し”Beacon Chain Push” or “Withdrawl Push”と呼ばれてるのです。

 

EIP:https://eips.ethereum.org/EIPS/eip-4895

 

EIP-4896は上海アップデートに含まれるのか?

EIP-4896を詳しく見る前に重要となるこのEIPが上海アップデートに含まれるのかについてみてみましょう。

まず結論から言うと

 

「EIP-4896は上海のCFIにマージ

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