- 1 イーサリアムステーキングの2023年現状を把握する
- 2 EIP-4895は万能ではない
- 3 ETHのインフレ率の問題
- 4 Casper FFGの異なるETH報酬
- 4.1 主なバリデータ報酬形態
- 4.2 ETHインフレ率が下がる場合
- 5 バリデータ報酬で発行されたETH総数
- 6 まとめ
イーサリアムの大型アップデート”上海ハードフォーク”は2023年3月に予定されており、ステーキングされている32ETHの引出しを可能とするEIP-4895の実装が予定されています。本稿ではETH価格に大きく影響するイーサリアムが上海アップデートでロックされていたETHが開放される際の複雑なインフレ率についてわかりやすく解説を行います。
イーサリアムの上海アップデートの内容については墨汁マガジンVol.802「イーサリアムの上海アップデートはいつ?EIPの内容とETH影響を理解する」を参照してください。
イーサリアムステーキングの2023年現状を把握する
イーサリアムのステーキングは2020年11月5日にメインネットにデプロイされ、2020年12月1日にステーキングをベースとしたイーサリアム独自のProof of Stake(プルーフ・オブ・ステーク)であるCasper FFGをコンセンサスアルゴリズムとしたBeacon Chain(ビーコンチェーン)が開始されました。
つまり32ETHのステーキングは開始から2年が経過しており、2023年1月現在でデポジットコントラクトへステーキングされたETH数は実に1600万ETH、3.29兆円にも及ぶ巨額のイーサリアムがステーキングされているというのが現状です。
2022年9月20日、イーサリアムは2つの並行したBeacon ChainとETH1エンジンを統合するマージ(The Merge)を完了したことで完全にPoSへ移行、イーサリアムのネットワーク構造が大きく変更されているものの、上海アップデートまでは1607万ETHは引き出せない状態が継続しているのです。
マージで変更されたイーサリアムの構造については墨汁マガジンVol.752「イーサリアム”マージ(The Merge)”で変更される構造を理解する ETHへの影響は?」を参照してください。
EIP-4895は万能ではない
まず大前提としてEIP-4895の課題とバリデータインセンティブについて理解しておきましょう。
まず重要となるのは
「バリデータ