- 1 EIP-1559とマージ
- 2 ETHの市場供給量
- 3 EIP-4895とETHステーキング
- 4 32ETH引出しの実質的制限
- 5 ETHの売り圧はどれだけ増える?
- 6 短期的なETH価格への影響
- 7 まとめ
イーサリアムはステーキングをベースとするBeacon Chain(ビーコンチェーン)をローンチして約2年を経て、ステーキングしている32ETHを引出し実装する上海アップデートを2023年3月に予定しています。
この上海アップデートではマージ(The Merge)後のEIP-1559でデフレしていたイーサリアムも、この2年間でBeacon Chain上で新規発行されたETHが市場に開放されるということになります。本稿では上海アップデートで導入されるEIP-4895でのステーキングされたETHとバリデータ報酬の開放におけるETH価格への影響についてわかりやすく解説を行います。
上海アップデート及びETHのインフレについては墨汁マガジンVol.805「イーサリアム上海アップデートでEIP-4895で市場に放出されるETH数をCasper FFGの仕組みで把握する」を参照してください。
EIP-1559とマージ
2023年1月現在、イーサリアムはマイニングを廃止する大型アップデート”マージ(The Merge)”から約4ヶ月が経過しており、新規発行されるETHはバリデータ報酬として「Beacon Chain内にロック」された状態が継続しています。
このマージに合わせてロンドンアップデートで導入されたEIP-1559により上海アップデートまでは
「ステーキングが進み、イーサリアムのコントラクトが使われれば使われるほどEIP-1559でBase Feeがバーンされ、新規発行されるETHが市場に出回らないことでデフレが加速していた」
という状況となっています。
つまりETHは売り圧が実際のデフレ率よりも大幅に売り圧が下がっているのが現状であり、上海アップデートで一気に市場にETHが開放されるということになります。EIP-1559では実装から1年以上経過しており、すでに285万ETHがバーンされていることからもマージ後のETH価格安定に大きく貢献していることがわかるでしょう。
EIP-1559におけるガス代の変動については墨汁マガジンVol.623「図解で理解するEIP-1559でガス代が下がる仕組み Sahrding実装後イーサリアムのガス代は下がるのか?」を参照してください。
ETHの市場供給量
イーサリアムのETH市場供給量は2023年1月現在で1.2億ETH前後を推移しており、EIP-1559のバーン状況によって年間のデフレかインフレかが変動します。現在はデフレ状態となっており、
「ETH価格への影響は