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墨汁マガジンVol.870「破産したBlockFi(ブロックファイ)が抱える大きな問題と再生プランへの影響」

目次
  • 1 BlockFiの再建状況解説一覧
  • 2 仲介者(Mediator)を入れるも仲違い
  • 3 UCC(Unsecured Creditor Committee)とは?
  • 4 BlockFiのケースが最悪な理由
  • 5 UCCは正義ではなく、必ずプラスに働くわけではない
  • 6 まとめ

FTXの連鎖倒産で破産したBlockFi(ブロックファイ)は2度目となる再生プランとDisclosure Statement(開示声明)を公開しました。一方でBlockFiはUCC(無担保債権者委員会)と仲違いしており、類似したセルシウスやVoyager Digital(ボイジャー・デジタル)よりも泥沼化して毎月23億円を債権者の資産から消費している形となっています。

本稿ではBlockFiが再生に向けて抱えている現在の複数の問題について投資家向けにわかりやすく解説を行います。

BlockFiの再建状況解説一覧

 

Vol.784「チャプターイレブンとは?FTXやBlockFiが申請した再建型の破産を理解する」

Vol.786「First Day Motionとは?BlockFi破産後初のチャプターイレブン破産審理の重要ポイント」

Vol.787「BlockFi/Voyager Digital/セルシウスのチャプターイレブン破産申請後の現状と違いを理解する」

Vol.794「FTX/BlockFi/Voyager/セルシウス債権者はどれだけ仮想通貨の返済を受けられるのか?」

Vol.798「BlockFiの破綻理由を破産裁判資料から理解する 仮想通貨企業が抱える共通リスク」

Vol.801「BlockFiのBIAからWalletへの引出し無効に対する反対申立ての根拠と現状は?」

Vol.825「BlockFiから債権者への書類郵送 今後の対応と住所やアドレス変更をするには?」

Vol.833「【2023年3月最新】破産したBlockFi(ブロックファイ)の再建状況 SVB破綻影響やProof of Claim締切など」

Vol.836「BlockFi(ブロックファイ)BIA→ウォレット引き出し論争の現状 和解は可能か?」

Vol.852「BlockFiのチャプターイレブン再生計画を理解する チャプターセブンと(清算)との比較と問題点とは?」

 

仲介者(Mediator)を入れるも仲違い

BlockFiは2023年5月13日にチャプターイレブンにおける再生プランを発表しました。この再生プランは”自己清算型の再生プラン”であり、時間をかけて事実上のBlockFiの清算を行い、FTXやスリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital=3AC)の債権をできる限り回収するというものでした。

一方でこの再生プランをニュージャージー州破産裁判所の認可を受けていないにもかかわらず、BlockFi債権者に投票を求めるなどの違法行為があったことで1回目の再生プランは無効となったのです。

さらにUCC(無担保債権者委員会)はこの再生プランにおける数多くの反対を行っており

 

1.PreferenceのClawbackの今後一切の無効

2.投票権限がないにも関わらずウォレット引き出しをお取りにしている

3.米国(BlockFi.inc)と日本(BlockFi International)の弁済率の差

4.出金停止直後に役員を守る保険を購入している

 

などを指摘しました。

その結果として仲介者(Mediator)を債務者であるBlockFiと債権者委員会であるUCC間に送ったものの、2023年7月現在は再生計画を交渉したものの決裂して真っ向から対立という結果となっているのです。

 

 

UCC(Unsecured Creditor Committee)とは?

そもそも聞き慣れないUCCとはどのようなものかをまず理解しておきましょう。米国破産法における”UCC(Unsecured Creditor Committee)”とはチャプターイレブンに企業が移行した際に米国破産コード1102節によってUST(United States Trustee)つまり連邦管財官によって任命されるトップ債権者により構成される委員会を表し、日本語では”無担保債権者委員会(=Unsecured Creditor Committee)と訳すことができます。

UCCを任命する大きな理由として

 

「チャプターイレブンの

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