- 1 Voyager Digitalをバイナンスが買収
- 2 FTXやBlockFiなどの債権者はどれほど弁済を受けられるのか?
- 3 投資銀行と債権者
- 4 仕組みと利点
- 5 FTX/BlockFi/セルシウス/Voyagerからいくら戻ってくるのか?
- 6 BlockFiは異なる状況にある
- 7 まとめ
破産したFTXやBlockFi、Voyager Digitalやセルシウスユーザーは債権者となり、再建計画にもとづいて保有していた資産の100%以下を受け取る形になるでしょう。一方でセルシウスのような巨額の損失と売却できる事業が少なく再建計画の目処が立たないような例や、FTXグループのような顧客資産使い込みにおける巨額の仮想通貨詐欺もあり、債権者はどれだけの資産が戻ってくるかわからない状態となっています。
本稿では2022年12月現在おけるFTX/BlockFi/Voyager Digital/セルシウスの債権者がどれほどの割合の仮想通貨や相当するドルを受け取ることができるのかについてわかりやすく解説を行います。
FTX以外の現在の再建状況については墨汁マガジンVol.787「BlockFi/Voyager Digital/セルシウスのチャプターイレブン破産申請後の現状と違いを理解する」を参照してください。
Voyager Digitalをバイナンスが買収
Binanceの米国法人であるBinance US(バイナンスUS)は12月19日に仮想通貨ヘッジファンド”スリーアローズキャピタル(Three Arrows Capital=3AC)”の破産による連鎖倒産をし、FTXに買収されたレンディン企業であるVoyager Digital(ボイジャーデジタル)の買収を合意したと発表。
Voyager Digitalの資産の評価額1365億円とし、手付金の13.65億円、経費の支払いに与える20.4億円、さらに将来的な価格の上昇を見越した27.3億円で最終合意に至ったとしています。
Voyager DigitalはFTXやBlockFiと同様に米国破産法の”チャプターイレブン(Chapter 11)”を申請しており、さらに買収元のFTXグループが破産したことで新たな買収先を模索していたのです。
Binance USによるとこの買収の主な目的は「顧客仮想通貨資産の返却」であり、Voyager Digitalの債権者に対して弁済が2023年にも開始されるということになるでしょう。
チャプターイレブンについては墨汁マガジンVol.784「チャプターイレブンとは?FTXやBlockFiが申請した再建型の破産を理解する」を参照してください。
FTXやBlockFiなどの債権者はどれほど弁済を受けられるのか?
ここで疑問となるのは
「破産した仮想通貨企業の債権者は本来の資産の何%の弁済(返済)を受けられるのか?」
でしょう。
チャプターイレブンを申請しているため、基本的に100%の弁済は受けられないということになりますが、大体の返済率を把握するための指標として
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