- 1 チャプターイレブンの解説一覧
- 2 クローバック(Clawback)とは?
- 3 クローバックの対象期間
- 4 チャプターイレブン:コード547節”Preferences”
- 5 Preferencesの定義
- 6 90日の対象者は?
- 7 まとめ
破綻したFTXとBlockFi、セルシウスなどの仮想通貨レンディングが申請した”チャプターイレブン(Chapter 11)”は非常に複雑な再建手続きであり、多くの特別措置が存在します。チャプターイレブンの再建手続き開始の初期段階には破産財産(Bunkruptcy Estate)を決めるためのクローバック(Clawback)という条項があり、債権者と債務者両方に大きな影響を及ぼす重要な項目となっています。
BlockFiのウォレットユーザーがカット時間の反対申立てを行っている一方、このクローバックが大きな障壁になり得る可能性があると言えるでしょう。本稿ではチャプターイレブンのクローバックについてわかりやすく解説を行います。
BlockFiウォレットユーザーによるカット時間の反対申立てについては墨汁マガジンVol.801「BlockFiのBIAからWalletへの引出し無効に対する反対申立ての根拠と現状は?」を参照してください。
チャプターイレブンの解説一覧
Vol.784「チャプターイレブンとは?FTXやBlockFiが申請した再建型の破産を理解する」
Vol.786「First Day Motionとは?BlockFi破産後初のチャプターイレブン破産審理の重要ポイント」
Vol.790「仮想通貨企業はなぜ再建が難しいのにチャプターイレブンを申請するのか?」
クローバック(Clawback)とは?
チャプターイレブンにおけるクローバック(Clawback)とは
「”払い戻し”を意味し、チャプターイレブンを申請した企業の債権者が平等となるように基本として90日間の支払いを払い戻すことを指す」
条項のことです。
クローバックは債権者、例えばBlockFiの例でいえば金利が付与されるBIA(BlockFi Interest Accounts)のAというアカウントとBというアカウントが破産申請の90日前までに遡って意図的に債務者(ここではBlockFi)がAに支払い等をしている場合にBは平等とならないため、クローバックを破産裁判所に求めることでBに払い戻しを命じ、破産財産とすることで債権者を平等に扱うことができるということになります。
BlockFiの主張する”カット時間”に対する反対申立てが破産裁判所で認められて無効となったとしても、このクローバックを債務者が申請した場合には結局債権者となるということになるでしょう。ですがこのクローバックは非常に複雑な要件を有し、簡単に対象となる、またはならないという判断をすることが難しいものとなっているのです。順を追ってBlockFiのBIA→ウォレットがこのクローバックの対象となるかを見ていきましょう。
クローバックの対象期間
まずクローバックの対象期間は原則としてチャプターイレブンを申請した日から90日を遡るというものですが、例外もあり
「