- 1 図解で理解するL2″Rollup”の仕組みシリーズ一覧
- 2 “zk”のゼロ知識証明とは?
- 3 SNARKとゼロ知識証明の違い
- 4 イーサリアムにとって「SNARK」は何が重要なのか?
- 5 L2の課題とzkEVM
- 6 zkEVMは何がすごい?
- 7 まとめ
イーサリアムのL2は2023年にzk-Rollupを採用した”zkEVM”という新たな局面を迎えている一方、技術的にはもはや仮想通貨投資家が理解できる内容を凌駕している状態であると言えます。一方で今後の仮想通貨の高騰となるバブル相場ではzkEVMの理解が必須になるといえ、zkSyncやLinea、ScrollやPolygon zkEVMなどのL2がメインネットローンチしていることを考慮すると理解しておくべきであると言えるでしょう。
本稿では仮想通貨(暗号資産)投資家向けにzkEVMを一から理解するためのゼロ知識証明及びSNARKについてわかりやすく解説を行います。
図解で理解するL2″Rollup”の仕組みシリーズ一覧
墨汁マガジンVol.565「L2の3つのコア技術RollupとPlasma、ステートチャンネルの利点と欠点を理解する」
墨汁マガジンVol.604「図解で理解するL2″Rollup”の仕組みPt.1 イーサリアムL2としてRollupが重要視されている理由」
墨汁マガジンVol.606「図解で理解するL2″Rollup”の仕組みPt.2 zkRollupとOptimistic Rollupの違いと利点」
墨汁マガジンVol.609「図解で理解するL2″Rollup”の仕組みPt.3 Fraud Proofとは?L2スケーリングにおける利点と欠点」
墨汁マガジンVol.615「The Merge後のイーサリアム2.0とL2の完成形を図解で理解する」
墨汁マガジンVol.641「The Surgeとは?イーサリアム今後のアップデートと関連技術の概要」
墨汁マガジンVol.704「Sequencer(シーケンサー)とは?L2のRollupにおけるバリデータの役割」
墨汁マガジンVol.726「図解で理解するRelayer型クロスチェーンブリッジコントラクトの仕組み」
墨汁マガジンVol.789「EIP-4844 Proto-Dankshardingとは?図解で理解するイーサリアムへの影響」
“zk”のゼロ知識証明とは?
zkEVMとは2023年12月現在においてはイーサリアムL2上のzk-Rollupを採用しているL2チェーンを指します。zkEVMチェーンは現在テストネットを含めて主に下記5チェーンとなっています。
zkEVMチェーン | 公式X(Twitter) | メインネットローンチ | 開発元 |
---|---|---|---|
Linea | @LineaBuild | 2023/07/11 | ConesnSys |
Polygon zkEVM | @0xPolygon | 2023/03/27 | Polygon Labs |
zkSync Era | @zksync | 2023/03/24 | Mater Labs |
Scroll | @Scroll_ZKP | 2023/10/17 | Scroll.io |
Taiko | @taikoxyz | 2024年Q1予定 | Taiko Labs |
このzkEVMの「zk」とはZero knowledge、つまりゼロ知識証明を意味する略語がつけられているということを意味するのです。このゼロ知識証明とは仮想通貨ではZcash($ZEC)が世界で初めて採用した暗号学であり、ゼロ知識証明を簡単に説明すると
「数値などの詳細を伝えなくても第三者がその値や答えが正しいことを証明できる技術」
を指します。
ゼロ知識証明及びZcashについては墨汁マガジンVol.62「ZcashのSaplingの問題点と匿名送金の落とし穴」を参照してください。
SNARKとゼロ知識証明の違い
ここまでは理解している人が多いと言えますが、SNARKなどになると一気に話が難しくなります。今では日本語情報も増えたものの、ただ翻訳しているだけなどの内容で解説記事を書いている側が理解していないため、それらの記事を読んでも理解できないのは当然と言えるでしょう。
SNARKとは「Succinct Non-Interactive Argument of Knowledge」の略で、まずSNARKとゼロ知識証明の違いは
「SNARKは