仮想通貨(暗号資産)のTPSとは「Transaction Per Secound」の略語であり、つまりイーサリアム($ETH)やビットコイン($BTC)などのブロックチェーンにおける1秒間に処理することができるトランザクション(TX)数を示す指標を指す。一方で仮想通貨は分散によるセキュリティとTPSにおけるスケーリングが最も重要であり、TPSはそのブロックチェーンの性能や開発力の高さを示す指標ではないため単純な比較では意味を持たない。
主要なイーサリアムとビットコイン、Optimistic Rollup、OP Stack、zkEVMとMOVEチェーンにおけるTPSと理論値上の最大TPSは下記の表の通りとなる。
ブロックチェーン名 | 種類 | シンボル | TPS | 最大TPS(理論値) |
---|---|---|---|---|
イーサリアム | Casper FFG(L1) | ETH | 約15 TX/s | 約120 TX/s |
ビットコイン | PoW(L1) | BTC | 約5 TX/s | 約7 TX/s |
ソラナ | SVM | SOL | 約1100 TX/s | 約65,000 TX/s |
Aptos | MOVEチェーン | APT | 約26 TX/s | 約160,000 TX/s |
Sui | MOVEチェーン | SUI | 約850 TX/s | 約297,000 TX/s |
Arbitrum One | Optimistic Rollup | ARB | 約17 TX/s | 約40,000 TX/s |
Optimism(OP Mainnet) | Optimistic Rollup | OP | 約11 TX/s | 約715 TX/s |
Base | OP Stack | N/A | 約95 TX/s | 約1,429 TX/s |
zkSync Era | zkEVM | ZK | 約16 TX/s | 約2,000 TX/s |
TPSは単に秒間に処理できるトランザクション数を示すだけの指標であり、イーサリアムエコシステムのようなArbitrumやOptimism、zkSyncなどのL2やzkEVM、さらには今後展開されるShardingなどを含めると単体のRollupは4万TPSから2万TPSが理論地上の最大数であることから、100チェーンがイーサリアム上に展開されれば400万TPSなど無限に広がることになる。
イーサリアムの開発ロードマップであるThe Surge(サージ)ではこのRollupを中心としたスケーリングアプローチが行われており、OP StackやZK Stack、さらにイーサリアム上に展開するリステーキングのEigenLayerのAVSではLayer Nが12万TPSを記録するなど無限の可能性を秘めている。
つまり仮想通貨(暗号資産)においてTPSを個別で比較することは性能の高さを示すわけではなく、そのアプローチとセキュリティにおける分散性とのバランスが最も重要。