比特币とは中国語でビットコインの当て字であり、比特は中国語で単位のBitを意味し、币は貨幣つまりコインを表わしている。比特币(ビットコイン)に対してイーサリアムは当て字として”以太坊”が使われている。中国のGoogleに当たるBaiduやWikipediaでもビットコインの中国語として比特币が掲載されており、Bitcoinという英語表記よりも中国人にとっては馴染みが深い。
イーサリアムの”EVM”とは「Ethereum Virtual Machine」の略で、イーサリアムブロックチェーン上でDeFiやNFTなどのスマートコントラクト実行を可能とするスタックベースのバーチャルマシンを指す。コントラクト実行にはEVMのOPCODEが使用されるが、プリコンパイルコントラクトはクライアント側の実装であるため、EVMに依存しないという特徴を持つ。
EVM経済圏
イーサリアムのEVMをコピーして実装したブロックチェーンを”EVM経済圏”と呼ぶ。主なEVM経済圏としては
・BSC(BNB)
・Polygon(MATIC)
・Avalanche(AVAX)
・Fantom(FTM)
・Gnosis Chain(GNO)
などがある。
zkEVM
EVMをそのままコピーしているEVM経済圏に対し、ゼロ知識証明(zk-SNARKs)の演算と互換性を持つEVMであるzkEVMがある。zkEVMは主にValdity Proofをベースにしたzk-Rollupを採用したイーサリアムL2ネットワーク用に開発されており、
・zkSync(ジーケーシンク)
・Starknet(スタークネット)
・Linea(リネア)
・Scroll(スクロール)
・Polygon zkEVM(ポリゴン・ジーケーEVM)
などが個別に開発を行っている。
次世代EVMのeWASM
イーサリアム2.0のSharding上ではEVMではなく次世代のEVMであるeWASMが実装される予定となっている。
2018年の開発ロードマップでは「イーサリアム1.x」としてイーサリアム1.0でeWASMを実装する議論が行われたが、先にイーサリアム2.0に移行をしてマージ(The Merge)が行われたため、2023年6月現在eWASM移行の予定はない。
イーサリアムのプリコンパイルコントラクトとは、EVMのOPCODEに適さない複雑処理をGethなどのクライアント側で実装されるコントラクト。Maker DAOなどのコントラクトアカウントとしてデプロイされるスマートコントラクトと異なり、プリコンパイルコントラクトはイーサリアム上でコントラクトを開発する際にデベロッパーが使用するもの。ビザンチウムで実装されたzk-SNARKsやハッシュ関数、ベルリンアップデートで予定されているBLS署名などがプリコンパイルコントラクトとしてイーサリアムに実装されており、イーサリアムをより複雑な応用をすることを可能にしている。
バリデータクライアントとはイーサリアム2.0においてバリデータアカウントを作成、運用するクライアントを指し、PrysmやLighthouse、Nimbusなどを指す。バリデータクライアントはイーサリアム2.0のBeacon Chainにバリデータとして参加するために必須であり、バリデータクライアントを起動して、イーサリアム2.0バリデータとして報酬を得るにはBeacon Nodeとバリデータノードを建てることが前提となっている。
トパーズテストネットとは、Prsymatic Labsが提供するイーサリアム2.0のテストネット。イーサリアムレガシーチェーンPoAテストネットのGoerli上に展開されるイーサリアム2.0のテストネットで、β版のサファイアテストネットと異なり、メインネット環境を実装している。バリデータとなるには32GoETHをステーキングし、メインネット環境を実際にテストすることができる。
2020年5月8日には、トパーズテストネットへ参加したETH2バリデータは3万ノードを超え、約96万ETHのステーキングに相当する。
Beacon Nodeとは、イーサリアム2.0のBeacon Chainを同期、検証するイーサリアム2.0ノードの一つ。イーサリアムレガシーチェーンでいうイーサリアムノードと同義であり、PrysmやLighthouse、Nimbusなどのクライアントを使用してイーサリアム2.0フェイズ0をセキュアに保つために必須。また32ETHをステーキングしてETH2バリデータとなるためには、Beacon Nodeと平行してバリデータノードを起動する必要がある。
メインネットで実装されたデポジットコントラクトでは、Beacon Nodeとバリデータノードとは別に、32ETHのステーキングを検証するためにETH1ノードをGethなどで別途建てる必要がある。
オラクルとはイーサリアムなどにおけるイーサリアムネットワーク上のコントラクトへ外部データを取り込むためのノードやプロジェクトを指す。またイーサリアムのDeFiではオラクルのトラストポイントを無くすため、UniswapやCurve Financeなどで得られるデータをオラクルとして活用する事がトレンドである。
例えばイーサリアムネットワーク上では今週の天気や為替情報などのデータをネットワーク内で取り込むために外部とのデータ連携が必要となる。イーサリアムにはこのような外部データを取り込む”入り口”として古くからOraclizeなどがあり、Maker DAOのKeeperやChainlinkなどが代表例となる。*アメリカのオラクル社とは異なる。
イーサリアム2.0のCasperでは乱数の生成を外部オラクルから取り込むことなく、RANDAOを活用している。
Maker DAOのKeeperは、DAIが1ドルにペッグするために重要な担保されているETHを清算するための重要なオラクル。Keeperはオープンソースのノードで、CoinbaseやKrakenなどの仮想通貨取引所とOasis DEXやRadar RelayなどのDEXでマーケットメーカーボットとして使用が可能。このマーケットメーカーボットとして機能しつつ、Maker DAOコントラクトにVaultを清算する基準となるETH価格を提供するオラクルとなる。KeeperがマーケットメイキングすることでDAIが1ドルにペッグすることが可能となっている。
Maker DAOのDebt Ceilingとはつまり債務上限を意味し、DAIの最大発行数を指す。Maker DAO上でのDAIのDebt CeilingはMCDのETH担保のDAIやBAT担保のDAIの個別の債務上限を指しており、MCDとSAI全体のDebt CeilingはGlobal Ceilingと表される。Debt Ceilingはその時のDeFiエコシステムにより変更がされ、Maker DAO上のガバナンスによって最終的な決定がくだされる。
コロナショックとは2019年12月から中国の武漢で発症した新型コロナウィルスの経済影響による2020年2月21日からはじまった、ビットコイン、株価、為替の全面安を指す。米株や日経平均の下落率はリーマンショック以来の大幅な下落となり、最高値を記録したゴールドも1日で1万円の下落、ビットコインは約20万円近い下落となった。
中国国家主席の習近平氏が、ビットコインではないにしろブロックチェーン技術について国家レベルでの参入を2019年10月25日に人民日報にて表明。この発表からビットコイン価格は80万円から113万円まで最大41%の高騰を記録し、習近平砲と呼ばれるようになった。習近平砲のように、特定の人物の発言からビットコインやアルトコインへの価格へ大きな影響を与えることは、仮想通貨ではよくあることであり、他に2017年のbitFlyer FXの加納砲やマウントゴックスの小林砲などが有名である。
ムーアグレイシャーとはイーサリアムにおけるネットワークバージョン。メトロポリスのイスタンブール実装に次ぐ5番目の大型アップデートであり、ブロック #920000で実装され2020年1月を予定している。
ムーアグレイシャーアップデートでは、EIP-2384のディフィカルティボムの長期延長調整のみを含み、約2年間ディフィカルティボムの影響を調整することで、2020年ローンチ予定のETH2 Beacon Chainとハードフォーク時期をずらすことを目的としている。
Maker DAOのエマージェンシーシャットダウンとは、イーサリアム上で発行するDAIに対し攻撃やステーブルコインとしての1ドルペッグが保てないと判断されたとき、またはSAIからMCDへの移行をスムーズに行うためのMaker DAOのプロトコルの一部。イーサリアム上でのオンチェーンガバナンスによりエマージェンシーシャットダウンの閾値が一定に達したとき発動し、SAI保有者はSAI発行者よりリスクが高く、DAIの価格が1ドル以下でヘアカットを受けて受け取る可能性がある。
2019年12月現在、SAIからDAIへの移行率は50%に近づいており、エマージェンシーシャットダウンリスクが高くなっているため、SAIからDAIへの移行が推奨される。
DSRはDAI Savings Rateはの略称で、イーサリアム上に展開されているMaker DAOの新たなコントラクト、MCDのプロトコルの一部。DAIの発行量とDeFi市場のDAI需要を調整し、DAIの1ドルペッグを安定させる目的でDAIをロックするMCDの新たなコントラクトである。DSRにDAIをロックすることで、2%の金利を受け取ることができる。DSRはStability Feeから捻出され、2019年11月現在は2%となっている。
Vaultは金庫の意味を持つ英単語。イーサリアム上のMaker DAOのMCDにおいて、CDPの変わりに新たに導入されたDAIの担保となるETHやERC20トークンを保管するプロトコル。DAIのStability FeeはVaultのコントラクトオーナーによりDAIによって支払われる。CDPによるDAIの発行プロセスの複雑さを解消する目的でMCDから新たに実装された。
MCDはMulti Collateral DAIの略で、SAIと同様にDAIの一種です。2019年11月19日に新たにローンチしたDAIで、ETHとBATにより複数のイーサリアム上のトークンを担保に発行できる新たなDAIを指します。2019年11月現在、SAIとMCDは同時に存在しており手動でSAI変換コントラクトによりMCDへ変換する必要があります。
最終的にエマージェンシーシャットダウンにより全てのSAIはMCDへの移行プロセスが行われ、MCDをサポートするDEXとレンディング、仮想通貨取引所はSAIのサポート及び上場を廃止します。
SAIとはSingle Collateral DAIの略で、DAIの一種です。MCDのローンチ後、DAIの価値を担保しているのはETHだけでなくイーサリアム上のERC20トークン(現時点ではBATのみ)を担保にできるようになったため、ETHのみを担保にするDAIをSAI(Ledgacy DAI)としてトークンのティッカーが変更されています。最終的にSAIの発行コントラクトは破棄されるため、SAIは全てMCDへと変換されます。
ブロックチェーンにおいて”送金を完了した”という確定の意。イーサリアムやビットコインなどのPoWを利用したブロックチェーンの分散合意には、最長のチェーンを正としなければ合意形成をできないため、ファイナリティを持たない。イーサリアム2.0で実装されるCasperではブロックにファイナリティを付与することができる。
Inactivity Leakとはイーサリアム2.0のCasper FFGプロトコルにおいて、バリデータがオフライン状態が続いた時に受けるペナルティの状態の1つを指す。イーサリアム2.0のコンセンサスアルゴリズムであるCasper FFGではファイナリティをブロックに与えるため、バリデータが常にオンラインでコンセンサスを続けるDAOを構築するためにペナルティと報酬を採用している。
Inactivity LeakはCasper FFGのペナルティ体系における最もバリデータが受けやすいペナルティであるといえ、他にもCasper FFGを再起動するためのスラッシュやWhistleblowerなどは特殊なペナルティであると言えるだろう。
イーサリアム2.0において、Beacon Chain上に展開されるセレニティの分割されたメインブロックチェーン。フェイズ1では現時点の予定では1024個のShard Chainに分割され、フェイズ2において各Shard ChainにeWASMを実装する予定となっている。本来1つのチェーンを複数に分割してスケーリングする技術をSharding、分割されたチェーンをShard Chainと呼ぶ。
イーサリアム1.0のETHをデポジットコントラクトでBeacon Chain上のETHに変換したものを指す。イーサリアム2.0のフェイズ0から1にかけて、バリデータのためにステーキングされた32ETHはすべてBETHへと変換され、フェイズ2まで1wayバーンとなる。BETHの由来はBeacon Chain上のETHであり、Beacon Chainのローンチ後ETHとBETHの2種類のイーサリアムネィティブトークンが存在することになる。
イーサリアムのベルリンアップデートは、イスタンブールアップデートの次に行われるハードフォークのコードネーム。2020年6月現在、実装されるEIPは4つを予定しており、EIP-2315のEVMのシンプルサブルーチン、EIP-2537のBLS12-381曲線のオペレーション、EIP-2046のEIP-198静的コールのプリコンパイルコントラクトのガスコスト削減、EIP-2565のEIP-198ModExpプリコンパイルのコスト変更が実装予定とされている。イーサリアムハードフォークでは初となる仮使用YOLOテストネットでテストを行うことが決定している。実装は2020年内予定だったが、2020年6月にGethの開発遅れなどにより延期が決定していた。
2021年1月現在、実装予定だったEIP-2537のBLS12-381曲線のオペレーション、つまりBLS署名のレガシーチェーン実装とEIP-2046静的コールをプリコンパイルしガスコスト削減が実装延期となった。代わりにEIP-2929ステートにアクセスするオペコードのガスコスト引き上げ、EIP-2718新規トランザクションタイプ追加時の定義負担減少、EIP-2930アクセスリストを含む新規トランザクションタイプの追加が追加され5つのEIPを実装。
Geth以外の全てのクライアントが5つのEIPを実装したため、ベルリンの実装は2021年中頃を予定されると見られる。
FOMCとはFederal Open Market Committeeの略で、米国の連邦公開市場委員会を指す。FOMCの読み方はエフオーエムシー。FOMCは年8回開催され、FRB(The Fed)の金融政策として金利の利下げや利上げ、ドルの供給量などを決定する。買いオペや売りオペによる公開市場操作方針を決定するため、金融において非常に注目されるファンダメンタルである。
2019年現在、米国FRBの第16代議長。トランプ大統領により大幅な利下げの要求に反し、パウエル議長は2019年8月1日に25bpの利下げを行い「いつもどおりパウエルは失望させた」とトランプ大統領がTwitterでツイートをした。パウエル議長は1984年に投資銀行、1992年にはブッシュ前大統領により米国財務長官へ任命され、2012年からFRBに在籍。2018年2月よりFRB議長に就任している。米国の利下げとビットコインへのヘッジのキーパーソン。
Federal Reserve Boardの略で、主に日本で連邦準備制度理事会を指す金融用語として使用される。米国ではThe Fedと呼ばれ、中央銀行として各銀行を統括し効率よく安全なペイメントシステムを保証する政府期間。通貨制度を保つため主に雇用数の最大化、ドル価格の安定、利下げや利上げを行う。2019年現在のFRB議長はジェローム・パウエル氏で、前FRB議長はジャネット・イエレン氏。
2017年7月12日、下院金融サービス委員会でイエレン前FRB議長の発言中、ビットコイナーと見られる男性が「Buy Bitcoin」と書かれたボードを掲げた様子が全米に放送された事件はあまりに有名である。
FedはFederal Reserve (System)の略で米国の中央銀行制度であるが、主にThe Fedという略称で日本で言うFRB(連邦準備制度理事会)を指す金融用語。米国において、FRBという呼称ではなくThe Fedの方が一般的であり、日本ではFRBが主流となる。Fedは1907年のアメリカ金融恐慌後から1913年に設立、金融危機の緩和を目的とした通貨制度をコントロールする中央銀行制度である。
2019年8月1日にFedは約10年ぶりの利下げを行うとされ、ビットコインは2009年のローンチ後はじめて利下げの影響を受けることになった。
主権国家間の輸出入に課される関税を指し、貿易における規制の形式かつ国内産業を守る目的や国家の収益などのために行われる。制裁関税を行うことで、国内産業を後押しし諸外国からの圧力と貿易赤字を軽減することができる。近年ではアメリカによる中国に対する連続制裁関税の発動が見られ、世界経済において優位に立つために意図的に行われることもあり、ビットコインや株価、フィアットやゴールド価格に影響を及ぼす。
トランプ政権発足後、世界経済と技術的に優位に立つため米中間の関税追加、及び2018年からの様々な措置により激化した貿易戦争を指す。米中貿易戦争の激化は、2018年7月米国によって発動された818品目への25%制裁関税第一弾、同年8月末284品目への25%の第二弾制裁関税、9月末5745品目10%の第三段(2019年5月より25%)により加速していき、中国人投資家のビットコインへのヘッジが見られる。
また、トランプ氏は2019年8月には制裁関税第四弾を発表し、同年9月より3805品目へ10%の制裁関税が追加される予定だが、スマートフォンなどの電子機器への発動を同年12月15日に延期している。